みなさん、社畜してますか?
最近ブログが少し楽しくなってきた、アカバネです。
ブログを書きながら、何時もの様にPCのiTunesを起動させると、1曲目がSing Like Talkingの「離れずに暖めて」でした。
1000曲入ったプレイリストをシャッフルさせて、1曲目にこの曲
何か、運命的なものを感じて、今回の記事を書く事にしました。
胸のずっと奥の方にしまってある、大切な思い出
10代最後の恋の話
僕の通っていた高校は男子校で、まともな恋愛経験もないまま18歳になった僕は「就職したくないから」と理由で、逃げ込むように専門学校に入りました。
勉強もせず、家の手伝いもせず、学校から帰れば深夜までゲーム、見かねた母親から「バイトくらいしなさい」と言われ、渋々入ったピザ屋のバイトで、僕は彼女と出会いました。
彼女はマキさんといい、僕より2歳年上の20歳、熊本県でも有名な大学の英文科に通っているとの事で、英語の発音がとても綺麗なのが印象的でした。
マキさんは何時もニコニコと笑顔を絶やさない人で、初対面の僕に「ヨロシクね」と握手してくれたのを、今でもよく憶えています。
初めて会った時から、気になっていたような気がします、気が付けばマキさんを見つめていたり、シフトでマキさんと重なる日を数えていたり、マキさんが好きな曲を教えてもらい、バイトの帰りにこっそりレンタルして聴いたりました。
バイトに入って3ヶ月がたち、僕とマキさんは趣味の音楽を通してグッと仲良くなりました。
ある日のバイト帰り、突然マキさんが「私のお気に入りをいれてきたんで、聴いてみて」とお気に入りの洋楽を編集したテープと、手書きで書いた曲の解説を僕にくれました。
嬉しくて飛び上がりたくなる気持ちを抑えながら家に帰り、マキさんが手書きで書いてくれた解説を読みながら、マキさんがくれたテープを何回も何回も聴いたのを今でも覚えています。
次の日、今度は自分のお気に入りを入れたテープに、手書きで書いた曲の解説、昨日もらったテープの感想とお礼を書いて、マキさんに渡しました。
その日をきっかけに、お気に入り編集テープの交換会が始まりました。
交換会にはマキさんが考えた、M・ナイト・シャマラン監督作品ばりの、破ってはいけないルールがありました。
1,お互いバイトのシフトで重なった日に交換する
2,受け渡しはバイトが終わってから
3,場所はバイト先の裏にある駐輪場
4,バイト先のみんなには秘密
それはまるでいけない薬の受け渡しのようでしたが、二人だけの秘密が出来たみたいで、実は少し嬉しくもありました。
交換の回数を重ねるうちに、曲の解説は何時しか、日々あった事、楽しかった事、悲しかった事を書く手紙のようになっていき、編集したテープがない時も、解説という名の手紙の交換はずっと続きました。
沢山の手紙を書き、そしてもらいました、マキさんからもらった手紙を枕元に置いて、夜眠くなるまで、何回も何回も読み返して、マキさんの事を考えながら眠りました。
マキさんの事を思いながら手紙を綴るたび、マキさんからの手紙が増えるたび、僕はマキさんの事を好きになっていきました。
毎晩布団の中で「明日こそは告白しよう」と思うのですが、断られてしまい、今のこのささやかな幸せが壊れてしまうのも怖くて、花占いする乙女のように「告白する」「告白しない」と毎晩唸りながら眠れぬ夜を過ごしました。
バイトが休みのある日、僕はバイト仲間のT君とカラオケに行く事がありました。お互い10曲以上歌い、さすがに歌い疲れてちょっと休憩していると、お決まりのように女の子の話になりました。
バイト先の女の子の話から始まり、途中でマキさんの話題になりました、「マキさんいいよね〜可愛くて、優しいし」とT君「うんうん」と僕「噂だけど、マキさん店長と付き合っているらしいよ」「え、、、嘘でしょ?」「まぁ噂だけどね」とT君は戯けながら言いました。
僕はT君にバレないよう出来るだけ平静を装うとしましたが、足元の地面が崩れて、奈落の底に落ちていくような感覚がしました。
その日は、もうカラオケどころではなくなってしまい、それでお開きとなりました。
家に帰ってからすぐ部屋に鍵をかけ、布団を被って「うわああああああ」と叫びました「嘘だ」「嘘だ」「嘘だ」心の中で何度否定しても、いくら叫んでも、心のモヤモヤは一向に晴れません、どうすればいい、、、。
答えなんて、とっくに出ていました。
「告白しかない」
マキさんに店長との関係を聞いて、どうする?
「付き合ってます」と言われて、それで全部終わりか?
終われる訳ない、まだ終われない。
今迄思い続けた気持ちを、悩み続けた夜を、手紙を交わした日々を、このまま胸にしまい込むなんて出来ない。
僕のありったけの気持ちを「マキさんに見てもらうんだ」僕は告白する決意をしました。
そしてマキさんとシフトが重なる日が来ました。
「今日も頑張ろうね!」と言うマキさんに「今日バイト終わってから、聞いて欲しい事があるんですけど、少し時間もらえますか?」と伝えました「、、、いいけど、何かな?」とマキさんは少し訝しんでいましたが「大事な話があります」とだけ伝えて、それ以上その話はしませんでした。
仕事を終え、バイト先の近くにある公園で、マキさんの事を待ちました。
しばらくしてマキさんがやって来ました「こんな所に呼び出して~わたし告白でもされちゃうのかな?」と僕の顔を見るなり、冗談を言ってくるマキさん「もし、そうだったらどうします?」と真剣な顔で言ってみました「や、やだなあ年上をからかうもんじゃないぞ」いつもヘタレな僕から予想外の答えが返ってきたからか、マキさんは珍しくドギマギしていました。
少し沈黙が続いて「好きです、付き合ってください」と頭を下げて言いました、マキさんから何の返事もないまま何分かの時間が過ぎました。
おそるおそる顔を上げると、マキさんは何故か少し泣いていました「どうしたのマキさん、そんなに嫌だった?」と聞くと「ううん嬉しくて、こちらこそヨロシクね」と初めてあったあの日のように、僕の手を握ってくれました。
僕達は、恋人同士になりました。
つづく
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